並置した2つの平面図形の間の点に生じる視覚的圧力
―形態的特徴、距離、配置及び明度差について
木下武志、福田弓恵、菅原阿久里
Visual pressure of the point in space resulting between two plane figures
KINOSHITA Takeshi, FUKUDA Yumie, SUGAWARA Oguri
受理:2015/06/19、採用決定: 2016/08/29【画像デザイン】
要約
ディスプレイ上に視覚コンテンツの構成要素をレイアウトする場合、視覚的なバランスを良くするためにスペーシングやアイソレーションの設定等が行われている。これらの視覚調整は、構成要素の相互関係によって生じる緊張感である「シュパヌンク」が関連すると考えられる。本研究では、視覚調整の要因であると考えられる心理物理的な力を空間力と記述する。
平面図形の外部に生じる空間力の実験的な検討として、我々の先行研究では空間力を視覚的圧力と捉え、2つの刺激図形を並置して一方の図形から他方の図形の輪郭上の点に対する視覚心理的圧力の強さを評価した報告がある。実験結果により、これに関する次の傾向が示された。1)三角形は正円と正方形よりも強く、また対向する頂点の内角が小さい三角形ほど強い。2)図形間の距離が短いほど強い。3)配置は強さに影響しない。しかし、上下の配置の場合は、左右の配置の場合より強いという可能性が示された。
本研究では、先行研究と同様な研究方法に基づき、視覚的圧力の強さを評価する位置を変更し、並置した2つの図形間の中間点の視覚的圧力を対象とした。また、検討する要因を増やし、図形の明度差による視覚的圧力の差と、評価の段階をより詳細に調べるために無段階評価に変更した。結果として、図形間の距離が短いほど強く、また、正三角形は正円と正方形よりも強いという結果は、先行研究と一致した。しかし、図形間の中間点の視覚的圧力の強さを評価したことで、三角形と正円では先行研究と一致したが、正方形では強くなった。また、明度が低いほど視覚的圧力は強い等の傾向が示唆された。