LogoMark.png

論文/『白物家電の神話』批判

『白物家電の神話』批判

ー 20 世紀の日本における主要工業製品色の変遷(6)

伊藤 潤

A critique of "The Myth of White Home Appliances".
ー the change in the color of major products in Japan in 20th century (6)
Jun Ito
(受付:2024.02.19, 採用:2025.04.22)

要約

本稿は20世紀の日本における主要な工業製品の色の変遷についての一連の研究の第六報である。電化の有無にかかわらず,冷蔵庫は戦前を通して製品色が判明したもので白色以外のものは存在しないのに対し,洗濯機では白色のものはほとんど存在しなかった。この冷蔵庫と洗濯機の製品色の違いは米国からの輸入段階で既に生じていたものであるため,米国で冷蔵庫の製品色が白化した過程を明らかにする必要がある。米国における冷蔵庫の製品色に関する既往研究として原克『白物家電の神話―モダンライフの表象文化論』(2012)を挙げ,批判的にその言説を検証した。掲載された図版の1次資料に当たり,また他の資料に基き,論理の破綻,事実誤認,資料の改竄に近いチェリーピッキング等を明らかにした。特に,冷蔵庫が氷式冷蔵庫の時代に内部から白くなったことは追認できたが,その理由とされる「琺瑯は白いもの」という前提に対してそれ以外の色の選択可能性や実際に他の色の琺瑯を用いた製品の存在を指摘した。



PAGES

GUIDE

Last-modified: 2025-04-24 (木) 17:50:32