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論説/地方産業デザイン開発推進事業の政策評価 のバックアップ(No.2)


地方産業デザイン開発推進事業の政策評価

-日本のデザイン行政と振興活動の展開(その2)

青木史郎、黒田宏治、蘆澤雄亮、熊娜、余

Policy Evaluation of Design Development Promotion Projects
for Local Industries
(受付:2023/01/17, 採用:2023/02/28)

要約

 地方産業デザイン開発推進事業は、デザイン導入を通じて産地の商品開発能力向上を図ろうと、通商産業省検査デザイン課が企画推進し、1975 年から85 年にかけて32 道県29 産地で実施された。推進体制整備、デザイン開発(需要調査、パイロットデザイン)、流通対策の3 年計画で、実施機関である日本産業デザイン振興会から派遣された調査会社、デザイン事務所、流通専門家等が教師役、産地組合等が学生役となって展開された、教育研修型のデザイン振興事業である。この論説では、中心的事業であるパイロットデザインの事例として、石川県・山中地区プラスチック漆器産業(1975 年)、岐阜県・高山地区家具産業(1981 年)、佐賀県・小城地区羊羹パッケージ(1980 年)を取り上げて、それら調査分析から、デザイン理解、プロセス習得、産業基盤整備の直接効果と、商品化推進、地域ブランド、ニューリーダーの派生効果を確認することができた。そこから同事業は政策趣旨に即した十分以上の成果を上げたと評価できる。ただし当時、政策側で事後評価がなされず成果が継続施策に活かされなかったのは振り返って残念である。