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論文/産学金連携によるパッケージデザインリニューアルの意義 のバックアップ(No.1)


産学金連携によるパッケージデザインリニューアルの意義

信用金庫の橋渡しにより製品化が実現した良寛コーヒーのパッケージ -

Renewal of Package Design through Collaboration with Industry, Academia and Bank
In a case of Ryoukan Coffee(200ml)

倉知 徹、黒木 宏一

Tohru KURACHI, Hirokazu KUROGI

要約

2018年度に産学金連携として株式会社良寛と新潟工科大学、柏崎信用金庫の三者が連携し、株式会社良寛の商品「良寛コーヒー」200mlパックのパッケージデザインをリニューアルし、2019年7月に一般販売を開始した。本稿では、この産学金連携によるパッケージデザイン・リニューアルの取り組みを題材に、一般販売にこぎつけたプロセスと連携した三者それぞれが得た成果を明らかにした。そして、本取り組みの意義を2点考察した。
 パッケージデザイン・リニューアルの取り組みプロセスでは、産学金の三者連携の体制構築(第Ⅰ期)、大学での課題出題と作品提出(第Ⅱ期)、提出作品から1作品(グランプリ作品)への審査会での絞り込み(第Ⅲ期)、グランプリ作品の実際のパッケージへ再構成(第Ⅳ期)、新パッケージでの製品製造と販売(第Ⅴ期)の5段階がある。特に、第Ⅱ期で座学系講義の課題として出題し履修者131名が作品を提出したこと、第Ⅲ期で東京・表参道を会場に学生プレゼンテーション含む公開審査会を実施したこと、第Ⅲ期で食品流通を専門とするバイヤー、第Ⅳ期でプロダクトデザインを専門とするデザイナーに専門家として参画してもらい、取り組みプロセスの質を向上させたことが特徴となっている。
また、産学金の三者連携によるそれぞれにとっての成果と意義を示した。株式会社良寛にとっては5点、新潟工科大学にとっては3点、柏崎信用金庫にとっては3点の成果が得られた。パッケージデザインがリニューアルしただけに留まらない大きな成果と変化を、各者にもたらした。
 産学金連携によるパッケージデザイン・リニューアルの取り組みの意義は2つ挙げられる。座学系講義を通して学生がパッケージデザインに関わり、連携した三者以外にも専門家が関わり一般販売までこぎつけられた点(産学金連携による完遂)と、実際の製品のデザインと絞り込みの審査会、製造現場の見学に学生が関われた点(実践的教育の提供)である。
 本稿から、連携各者の成果と取り組みの意義を明らかにした。今後はこのような連携の取り組みが継続的に実践することが求められる。