大会発表梗概審査のポイント
芸術工学会 研究委員会|2021.08.05
芸術工学会研究委員会では、これまでの「大会発表梗概等の審査に関する見解」に代えて以下の「大会発表梗概審査のポイント」をまとめました。各投稿者には自ら、ポイントに沿ったチェックを投稿前にお願いします。また、大学院学生などの指導にあたっておられる先生方にも、投稿前のチェックに役立てていただければ幸いです。また、査読者にも参考にしていただき、査読の強度を全体に揃えたいと考えています。ご一読の程、宜しくお願いいたします。
論文としての必要条件
以下の条件を満たしていることが必要である(具体的には下記の詳細を参照)。
- ⅰ)テーマをもったまとまりのある議論であること
- ⅱ)正しい日本語ないし英語で書かれていること
- ⅲ)オリジナルなものであること
- ⅳ)著作権侵害をしていないこと
- ⅴ)フォーマットに従っていること
- ⅵ)参考文献の書き方など、論文の書き方のルールに従っていること
- ⅶ)事実関係が明らかにされていること
査読に当たられる先生方へ
- 査読者は、いずれかの項目で問題があると判断した場合、いかにしたらその条件を満たすことができるか、例示したり方向性を示すなどして具体的に示して下さい。
- 逆に、これらの条件が満たされている場合は、大会発表梗概なので多様な議論がなされることが望ましく、提案や仮説の提示、問題提起型の議論なども許容して下さい。
- それは、下記の条件が満たされている限り、粗削りであっても研究として発展可能性があるものは積極的に採用するということでもあります。
- 大会発表自体議論の場であるので、明快な結論が得られていないものであっても一定の手続きを経ていたり、実質的な研究内容があるもの、あるいは新たな着眼点があるもので一通りの議論がなされているものは採用するということでもあります。
詳細
ⅰ)テーマをもったまとまりのある議論であること
- 適切なタイトルがつけられていること
- 過大な研究テーマがタイトルになっていないか注意すること
- 特に修士や博士課程での研究テーマを直接論文のタイトルとするのではなく、本稿で議論している内容に見合ったタイトルとすること(それは研究テーマの議論の一部をなすものでしょうが、そのことはここでの読者には関りのないことです)。
- 論文にとっては訴えようとする学術的内容(命題)が重要であり、その内容が人々に理解され、納得されるように、論理的で筋道を明確にした議論(ないし論述)を行って下さい。
- 作業報告(議論のための順ではなく、行った順に記述するなど)になっていないか。
- 実質的に結論を得ていれば良いが、結論、まとめ、総括などなんらかの整理がなされていることが望ましい。
ⅱ)正しい日本語ないし英語で書かれていること
- 誤字や、てにをはの間違いがないよう校正はしっかりすること
- 主語と述語が対応しているかチェックすること
- 冗長な表現や余計な繰り返しがないよう、よく推敲してください。
- 簡潔な日本語にしてください。「・・・が存在する」は「・・・がある」ですむ場合が大半です。
- 英文で書く場合、母語でなければ、できるだけネイティブチェックをかけてから提出して下さい。
ⅲ)オリジナルなものであること
- 類似研究がある場合はレビューをした上で、適切な位置づけをして、当研究のオリジナリティを明確にして下さい。この作業には指導教員の手助けが必要かもしれません。
- 本人の既往研究との違いを明確にする必要がある場合もあります。
- 同じテーマであっても、アプローチが異なる場合、視点が異なる場合などは、その点を最初に明確にして下さい。
ⅳ)著作権侵害をしていないこと
- 引用は、量的に最小限であること、出典が明確に示されていること、当該議論にとって不可欠なものであることなど条件があります。
- 本人の既発表の論文に対しても、他人の論文と同様の扱いが求められます。
- 特に図のコピーには、原著作者の許可ないし出版社への断りが必要な場合があります。
- 写真が著者撮影でない場合は、許可を得た上で撮影者名等をキャプションに記す必要があります。
ⅴ)フォーマットに従っていること
- InDesignによるWindows用フォームとMac用フォームを作成しています。できるだけそれを使って下さい。
- Wordの場合は、できるだけそれに合わせて下さい。
ⅵ)参考文献の書き方など、論文の書き方のルールに従っていること
- 参考文献は、その資料に読者が到達できるように必要な書誌情報を記す必要があります。Webページも同様です。
- 図・表・写真は本文で必ず参照してください。
ⅶ)事実関係が明らかにされていること
- 自分が行ったことなのか、誰かの研究を参照しているのか、計画したり、頭の中で考えたりしていることなのか、などは、違いがわかるように明確に表現して下さい。
- 例えば、調査やアンケート調査などは、いつ、だれが、誰を対象に、どのような方法で行い、どの程度の有効回答を得たのかなど、事実関係を明確にする必要があります。
- 作品制作、ワークショップなども同様です。
- 得られた知見が、どのような経験や手続きで得られたことなのか、読者にわかるように説明を心がけて下さい。
以上