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旧在上海日本国総領事館新館における
建築表現の一考察(1)

―数理的分析に基づいて―

郭 瑞, 石川恒夫

A Study On the Architectural Expression of Japanese Consulate-General Newly-Built in Shanghai(Part 1) - Based on Mathematical Expressions-
GUO Rui Ishikawa Tsuneo
(受付:2018/1/10, 採用:2019/1/7)【建築・環境デザイン】

要約

本研究は上海市の外灘区域に存在する近代の建築文化財をいかに評価し、保全につなげるかというテーマに対して、日本人建築家平野勇造が1911 年に設計した旧在上海日本国総領事館新館を事例として取り上げ、まずはファサードにおける建築表現の考察によって意匠面からの評価を試みることを目的としている。数理的分析方法を用いたファサードを対象とする既往研究は、殆ど2 次元の視角から垂直面の建築表現に着目する。しかしながら、空間表現的な相互関係が意匠を評価するために重要なものと考えるため、本研究においては、奥行きを考慮に入れ、3 次元の立場をとる。平野の設計意匠に関する言説はないけれども、固有の建築表現を抽出するために、図面を利用し、スケールに基づいて共通の寸法特徴を持つ基準要素を設け、図形情報を数式に転換する数理的分析方法を提案し、幅と高さ、高さと奥行き、奥行きと幅の3 種類の関係から建築意匠の考察を行った。その結果、研究対象のファサードの設計において以下の知見が得られた。
1).プロポーションを確認したが、際立って黄金比などのプロポーションは使用されていない。
2).水平面と垂直面に、3 つの軸が併用され、左右対称と上下対称の複合の関係が見られる。
3).複合関係の中で、上下対称より、左右対称の表現が優先的に強調されている。
4).軸を巡って、基準要素が等差の関係に基づいて並んでおり、潜在的な数理関係が見られる。
以上の4 点により、旧在上海日本国総領事館新館のファサードにおいて、緻密な規則性が見られ、建築意匠的視点からの新たな評価に理論的根拠を与えることができた。



Last-modified: 2019-01-07 (月) 13:23:02 (10d)