#author("2025-06-09T13:33:56+09:00;2025-06-09T11:17:41+09:00","default:inoue.ko","inoue.ko") #author("2025-06-09T13:37:39+09:00;2025-06-09T11:17:41+09:00","default:inoue.ko","inoue.ko") *会長メッセージ ~ #image(kobayashi.jpg,right,15%) #clear RIGHT:第17期 会長 小林 敬一 #clear ~ **会長就任のご挨拶|2026.06.07 **会長就任のご挨拶|2025.06.07 芸術工学会会長に選任いただき誠にありがとうございます。 私の役割は2つあると考えています。 一つは学会運営ですが、これは前の大井会長の代に、大いに効率化が図られ学会として動ける余地が生まれてきたと考えています。この効率化をさらに進めながら、学会の魅力、学問の魅力、学会員となることの価値を高めていくという本来的課題に取り組まなければならないと考えています。 もう一つは、芸術工学という理念に対する責任を果たすことです。本学会は設立趣旨にもありますように「デザインについての基礎的学問である「芸術工学」の碓立を目指し」その「共通認識を碓立し」「体系化・構造化を図る」ことを、会の目的の中心に据えております。 しかし、芸術工学という言葉がかつて持っていた先進性や卓越性が、近年の多様なデザイン言説の中で埋没しつつあるのではないか――そうした危機感を私は抱いております。 つまり、私のもう一つの役割は、「芸術工学」概念が再び輝きを取り戻すよう方向づけ、それに向けてビルトインすべきメカニズムを皆さんとともに模索することかと思います。 ~ ある意味、これは、私たちの意識や考え方、行動の仕方やコミュニケーションの取り方等全てに関わり、会としてのあり方つまりシステムに全体的に関わりますので、多方面にわたる変革を必要としていると考えています。というと、失敗を恐れ躊躇もするのですが、変革は速やかに着手すべきです。鉄は冷めてから打っても仕方ありませんし、年に3回しかない本学会の理事会の仕組みを考えると、悠長に構えてはいられません。 しかし一方で、皆さんについてきていただかないと、変革は叶わないことも承知しております。ですから、大いに相談し、議論し、コミュニケーションを盛んにして進めたいと思います。そのためにも、本日は、早速ですが、私の方からボールを投げておきたい。つまり、会長の裁量の範囲にあると思われる事項を中心にしまして、変革に向けた運営方針の第一弾を、もう少々話が長くなりますが、ここで、お話ししておこうと思います。 当面の運営方針は2つのコンセプトにまとめたいと思います。一つは「コアへの凝集とオープン化」です。そしてもう一つは「頂点の引き上げと基盤強化のためのチャネルの拡大」です。 まず前者「コアへの凝集とオープン化」ですが、変革を進めるために、会長、副会長に各委員会委員長・副委員長、デザイン関連学会担当、事務局長、幹事からなる会合を持ちたいと思います。それは会長-委員長会議と言っても良いかもしれませんが、相談会議のようなもので、全員参加ではありませんし、義務にはしたくないのですが、少し頻繁に、持ちたいと思います。そして同時にこの会は、理事の皆さんにはオープンにしていきたいとも思っています。 この「コアへの凝集とオープン化」の原則は、理事会自体にも適用し、傍聴を会員に認めたいと思うのですが、この件はメリット・デメリットを整理してこれから議論を始めたい。そもそも、理事か理事でないかによって学会への参加意識というか距離感が大きくことなることがこの学会の問題の一つだと思うからです。 またこれまでの3委員会体制では、各委員長に負荷が集中する一方で、学会として果たせていない機能があると考えています。それを補うためにもっと小さなコアをつくりたい。3委員会の定形業務を超えた取り組みを、担当者を決めてその小さなコアから進めていきたいと思うのです。その中身は、これから相談してまいりますが、そうしたところから、理事ではない方のお力も借りることができればと考えるのです。 まずは、既に活動していただいているデザイン関連学会担当も、3委員長に準じる発言機会と責任を持つ役割として、位置付けたいと考えています。 一方、「頂点の引き上げと基盤強化のためのチャネルの拡大」の具体化の一つは、そのデザイン関連学会の取組みをこの学会としても重要なものと位置づけて、既に今年度もアンケートなど行っておりますが、より学会員に広く届くものにしていきたいと思います。一方では、そのパブリシティを高め、このシンポジウムでの成果などがデザイン哲学的成果としてデザイン界に広く情報発信されるものとしていきたいと思います。 「基盤強化のためのチャネルの拡大」としては、本学会の会員数の拡大ももちろん課題ですが、一方では、学生・院生にも届くような、一方では、現場の若手デザイナーたちにも届くような、多様なチャネルを持った会にしていきたいわけです。それが、先ほどの新たな小さなコアに期待する働きの一つでもあります。 沢山のことを言っているように聞こえるかもしれませんが、まとめると大したことありませんのでご安心下さい。しかし、折角の情報環境があるわけですから、これらを活用して、この会に新しい風を吹かせたいと思います。 ~ さて、運営方針と対になるべき芸術工学理念に関する議論は、昨年までの特設委員会「芸術工学の将来」の名前を変えさせていただきまして「芸術工学を考える」にいたしましたが、その枠を使って行いたいと思います。この「芸術工学を考える」特設委員会は年3回程度の会合が事業計画には盛られていましたが、その最初の回に、私の芸術工学解釈とその課題認識を述べさせていただきたいと思います。私はもうすでに「芸術工学」概念については学会誌に書かせていただいたことがありますが、そのニューバージョンを会員の皆様の前でお話ししたい。その時期は、一つ候補としては7月か8月頃で、みなさんの御都合も伺ってこれから決めます。それに続けて、具体的な課題について議論を進めていきたいと思います。 今日はまだ、抽象的な部分が多いのですが、会の運営に関する変革と芸術工学理念の現代的再解釈、この両輪でもって出発して、本学会に、本学会が当初持っていた輝き、先進性と卓越性を伴った輝きを、再び取り戻すことが大目標であります。どうぞ、ご協力方、宜しくお願いいたします。 ~ RIGHT:令和7年6月7日 ~ ~