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近世日本の図の形態分類

出原立子

Classification of Japanese Diagrams in the Edo Era
IZUHARA Ritsuko
受理 2013/07/22、採用決定 2013/08/14【画像デザイン】

要約

本研究は、近世日本において活用された図の特性を明らかにすることを目的とする。ここで取り上げる図とは、地図や天文図、家系図、概念図のような、物事の関係性や特徴の全体的な把握を容易にするためなどの実用的な目的で使用された視覚表現のことで、主に書籍の中に描かれてきたものを指している。
研究方法として、まず江戸時代の日本で制作、発行された書物・資料より図的表現を用いたものをできるだけ幅広い分野より収集しデータベースを構築する。次に、収集した様々な分野の図を横断的に特徴付けるために、図の形態的特徴に着目して分類を行う。さらに、各図において形が示す意味、関係性を挙げ、形態的特徴との関連性を追求する。これらによって、当時の図の特性を明らかにすることを試みた。
図の形態分類は、領域系、座標系、行列系、連結系の4種類で行った。その結果、各形の図は分野に限定されるものではなく、様々な対象について描かれているが、各図形構成によって示される意味や関係性には共通性があることがわかった。すなわち、領域系の形は、対象となる概念同士の関係を隣接や循環、交差、対称性などの配置関係で表しており、東洋的な循環思想や陰陽思想、天円地方説などに基づいて、図形の意味や図形構成が定められていた。座標系の形は、ものづくりにおいて活用される場合が多く、具体的なものを対象にして、基準となるスケールに合わせて大きさや形状や位置を正確に表している。行列系の形は、暦で活用される事例が多く、織物を構成する経と緯の関係のように、行と列の交差位置に双方の相関関係や相互関係を表している。連結系の形は、目では見えないがその中にある筋道、内在する関係性のようなものを表していることが分かった。
さらに、4種類の形態的特徴は2つに大別でき、領域系と座標系は空間的関係性を表し、行列系と連結系は線的関係性を表しており、これらの図の形は様々な物事の関係性を捉える枠組みを示していると考えられた。



Last-modified: 2017-06-13 (火) 19:53:40 (581d)