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協同と表現による学びを目的とした
ワークショップにおける映像記録手法

─学びの振り返りを促すドキュメンテーションの可能性─

福崎千晃、曽和具之

Video recording method used in workshops designed for learning through collaborative and expression
FUKUZAKI Chiaki, SOWA Tomoyuki
(受付:2018/4/10、採用:2018/7/24)【コミュニケーションデザイン】

要約

 教育の多様化が進む昨今,ワークショップ形式による学びの場が数多く提供されており,協同的関係を省察するための情報提供が必要とされている。さまざまな学び方が生まれるワークショップでは,詳細な記録に基づいた綿密な省察により,参加者の学習能力を向上させることができる。省察に必要な情報は,リアルタイム・ドキュメンテーション(RTD)により,文章での記録のみならず,図や絵,音声,映像などを用いて多角的に記録される。本研究は,RTD に内包されるドキュメンテーションの一つであるリアルタイム・ビデオ(RTV)を取り入れた,協同と表現による学びを目指したワークショップを一例として取り上げる。RTV とはワークショップのプロセスを動画,静止画,音声,文字情報を用いて視覚・聴覚的に編纂したものである。ワークショップの終了時に全員でRTV を閲覧することで,参加者のワークショップに対する認識が変化していることは明らかであったが,RTV の撮影・編集における手法が明確に示されておらず,撮影・編集者(ドキュメンテーター)の経験に頼る部分が多かった。参加者へ省察を促すために制作されたRTV に関し,RTV 制作時にドキュメンテーターに求められるスキルやリテラシーについて考察し,経験だけに頼らないRTV の撮影・編集方法の指針を提示するために,以下の2点を目的として研究を行なった。
(1)参加者の省察傾向を分類し,RTV が参加者に与える影響を分析する。
(2)RTV 制作時にドキュメンテーターに求められる,撮影・編集方法の指針を示す。
 参加者のワークショップにおける省察傾向についてアンケート調査を行った結果,参加者は3つの省察視点を持っていることがわかった。この省察視点と,ドキュメンテーターに必要な撮影視点を組み合わせ,RTV 制作に必要な9つのRTV 指標を導き出した。本研究では,以下の知見を得た。
(1)参加者のRTV 閲覧時の省察視点は,「場の状況」,「自己内省」,「他者との関係性」の3種類の特徴がある。
(2)ドキュメンテーターは9つのRTV 指標をもとに撮影し,編集ではすべての指標をRTV に入れ込むことで,いずれの省察視点を持つ参加者にとっても,省察を促すRTV を制作する指針となる。




Last-modified: 2018-07-25 (水) 10:42:30 (88d)