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中山道宿場町67 宿における
旧街道の道路特性に関する研究

道尾淳子

A Study on the Characteristics in the 67 Post-Towns of Nakasendo Road
MICHIO Junko
受理 2011/10/24、採用決定 2012/01/18 【建築・環境デザイン】

要約

 本研究は、自動車交通が登場する以前に形成された日本近世の歴史地区における今日の道路利用のあり方に着目し、とりわけ、江戸期、人馬を通行させる一本筋の限定された経路・旧街道を軸に発展した宿場町において、旧街道の今日的な利用実態を把握し、宿場町間の比較を行うものである。研究対象は旧街道・中山道である。江戸期、江戸と京を結ぶ基幹街道として東海道とともに繁栄し、67 宿が設置された。明治期の宿駅制度廃止以降も全ての町が現存する。但し、一街道沿いの宿場町とは言え、街道は、明治期以降現在まで種々の変遷を辿り、道路としての現状も様々である。
 本研究では、旧街道が今日「道路」としていかに利用されているか整理するため、宿内本陣前の現況幅員を実測し広狭を分類する[3-1 節]とともに、道路の広域または地域利用の役割から道路型を区分し[3-2 節]、幅員と道路型から旧街道の道路特性を分析した[3-3 節]。次に、その状況を成立させる周辺環境について、広域道路[4章]及び鉄道駅[5章]の配置に着目し考察した結果、以下の点が明らかになった。
 ⑴宿内旧街道は、狭幅員が58 宿と全宿の86.6%を占め、江戸期より維持した幅員を今日も道路として利用している。⑵道路法による位置付けは、宿内全区間を地域道路とする「地域型」25 宿、広域道路とする「広域型」26 宿、両区間ある「併置型」16 宿と三分するが、狭幅員は地域道路(34 宿)、広幅員は広域道路(9宿)の関係とは異なり、幅員の広狭と法的な道路の広域性が相反する町もあった(24 宿)。⑶宿場町と周辺広域道路の配置は、周辺の市街化に伴う「迂回分断型」が28 宿と最多だが、宿内の通過交通を避ける「迂回型」21 宿、街道線形の方向とは異なる広域道路が優位な「分断型」14 宿、周辺に道路のない「街道型」4宿に整理できた。⑷駅配置は「最寄駅型」44 宿、「駅近接型」10 宿、「駅なし型」13 宿で、幅員との関係では「最寄駅型」は全類型に分布し「駅なし型」は全て狭幅員であった。⑸旧街道はその道路特性と周辺広域道路配置より「狭幅員―地域型―迂回型」が16 宿と最多であり、他の分類も併せると、宿場町周辺で通過交通を対処し既存の幅員を維持している。中山道では宿内旧街道全区間の拡幅事例は9宿と少なく、既存の幅員を全区間あるいは一部区間そのまま継承し、人車通行と町の構造を共存させていた。



Last-modified: 2017-06-13 (火) 19:30:41 (705d)