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論文/プロダクトデザインにおける・・

プロダクトデザインにおける
造形の記号的表現に関する研究

舩山俊克、川崎和男

Study on description language of product design
FUNAYAMA Toshikatsu & KAWASAKI Kazuo
受理 2012/12/04、採用決定 2013/03/04【プロダクトデザイン】

要約

 商品開発を行っていく際に、デザイナーが考えるデザイン意図を全開発者間で共有することは非常に重要である。より円滑に開発を進め、仕様変更などにも柔軟に対処可能となる。デザイン意図は、造形言語・形態言語などとも呼ばれる。一般的にデザイナーが固有に用いている言葉が多く、共有することに適しているとは言い難い。そのため、使用者間で齟齬が生じやすく、意思の疎通がうまくいかないことがある。
 そこで本研究では、「かたち」に関するデザイン意図を適切に表現する造形言語の研究を行った。誰でも利用できる汎用的な記号を、定められた法則で記述することで、式として構築する。具体的には70点ほどのプロダクトデザインのデザイン図面の整理を行った。その図面を元に、基本要素と基本操作子と呼んでいる記号を用い、各プロダクトの詳細なかたちを式として表現した(形態言語)。次に、その式の単純化を行った。単純化には主に4つの方法を用い、デザイナーのデザイン意図を表現していると考えられる式(造形言語)を導出した。デザイン図面の作成、および形態言語としての式を導き出すところまでは、半自動的に行えた。最終的に造形言語の式を導く際には、対象を確認しながらの作業になるが、その場合も決められた方法を適用することで行えた。
 結果から5つの考察が得られた。1つは、式として導き出した造形言語を読み解く意味である。従来、デザイナーと他の開発関係者とのやり取りでは、デザインの重要点を伝達することが困難であった。本提案の式は、デザイナー自身が「かたち」において重要と考えているデザイン意図を伝達可能になる方法の一つであると考える。2つ目は式における項数の統計的傾向についての考察である。3つ目は汎用的な記号を用いることによる優位性である。一般的な記号を用いることで対象の種類に依拠せず、共通に式化を行えると考える。4つ目は、図形表現との相違についてである。伝達内容がデザイナーなどの描画能力に依存しない。5つ目は、形態言語と造形言語についてである。前者はより詳細にかたちを記述しており、後者は単純化されている。この二つは共に、新規デザインを行う際に、デザインの指標として用い、デザインの自由度に幅を設けることができると考えられる。本提案は、プロダクトデザインの中でも特に情報機器を中心に、その「かたち」に特化して造形言語を導き出した。今後、他の商品や他のパラメータへと展開することが重要であると考える。





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Last-modified: 2020-04-10 (金) 10:59:25