#author("2017-06-13T19:36:26+09:00","default:sdafst","sdafst")
*屋外電光板景観の在り方とその類型に関する研究
***金 明煥、佐藤 優
A Study on the Actual Installation Situation of Outdoor Video Advertising in Fukuoka and Seoul
KIM Myoung hwan & SATO Masaru
受理 2011/11/16、採用決定 2012/05/10 【建築・環境デザイン】
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***要約
デジタルサイネ─ジが、予想を上回る早さで普及されている。大型ビジョンを用いた屋外電光板も、都心の街頭を中心に急速に増えつつある。これらの屋外電光板は、街路景観にさまざまな影響を与えるはずである。そのような予測を確認するために、屋外電光板が設置されている街路景観( 以下「屋外電光板景観」と記する) についてのフィールド調査を行った。その結果、屋外電光板の設置状況や画像コンテンツの種類などによって、街路景観への印象は大きく変わる傾向があることが分かった。
そこで、福岡市とソウル市における総27 基の屋外電光板景観を対象に、屋外電光板の設置状況を調べることにした。まず、屋外電光板の仕様をはじめ、それぞれの屋外電光板景観における街路の平面的な要素について調べた。また、今後の研究において行う予定の印象評価実験のための予備調査を兼ねて、それぞれの屋外電光板景観の撮影を行った。その画像サンプルを用いて、街路の垂直方向の要素について調べた。そして、それらのデータを用いたクラスター分析を行い、福岡市とソウル市における屋外電光板景観の類型を5 つに分類し、それぞれの特徴を考察した。
福岡市とソウル市に設置されている屋外電光板は、建物の設計の段階から計画的に配置されたものではなく、建設後付け加えられたものがほとんどである。また、福岡市では、建物の壁面に設置される場合が多いが、ソウル市では、建物の屋上に設置されるのが一般的である。壁面に設置された屋外電光板は、建物と一体感を保ちやすいが、屋上に設置された屋外電光板は、建物の造形的な文脈とは掛け離れた付加設置物としての印象を与える。さらに、屋外電光板が建物の壁面など低層部に設置されると、見る人と屋外電光板が向き合うようになり、そのため屋外電光板が街路景観に与える影響は大きくなる。このように街路景観についての印象は、屋外電光板の設置状況によって異なってくる。
なお、屋外電光板に放映される画像コンテンツの種類も、屋外電光板景観への印象に大きな影響を与える。今後、画像コンテンツの放映状況について調べるとともに、屋外電光板が与える街路景観への影響についての印象評価実験などを重ねて、屋外電光板景観の望ましい在り方を探っていく。
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