(受付:2023.10.2, 採用:2024.02.17)
本研究は災害維持の避難誘導を想定し,聴覚障害者を対象にモーショングラフィックスを用いた画面表示のモデルの作成および評価実験を行い,デジタルサイネージにおける動きと情報伝達の関係を明らかにすることが目的である.研究の方法は,聴覚障害者の実験参加者へ評価実験を行い,実験用モデルに対する主観評価,問題に対する正誤数,自由記述を収集し結果を分析した.実験用モデルはデジタルサイネージコンテンツガイドラインの災害時用の画面サンプルをベースとし,「災害原因」,「避難場所」,「出口番号」,の項目を配した.モデルは3つの「避難場所」に対し「動きなし」,「フェード」,「スライド」の3つの動きの合計9つある.実験の結果,主観評価や自由回答において「動きなし」が有意に低い評価となり「フェード」が有意に高い評価となった.正誤数に対しては「動きなし」の正答数が有意に少なく,「フェード」「スライド」の正答数が多かったことから,動きが刺激となって記憶に残りやすいということが明らかになった.以上のことから動きによって質的評価は向上し,正答数は向上するが主観評価ほど強くはないと言える.