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論文/年間昼光照明シミュレーションによる・・ の変更点


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*年間昼光照明シミュレーションによる&br;美術館展示室の採光手法に関する考察
***馬 健、井上 朝雄
Considerations on daylighting method of art museum exhibition rooms by annual daylight simulation
MA Jian, INOUE Tomo
(受付:2020/11/06 採用:2021/01/22)
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***要約

本研究は、美術館の展示室において、展示品の適切な展示に重要な意義を持つ年間積算照度の視点から、年間昼光照明シミュレーションによるケーススタディを通じ、採光手法とガラス仕様の選択が展示室の光環境の形成に与える影響を定量解析することを試みたものである。

 シミュレーション方法はRadianceに基づくガラス仕様も考慮できる年間動的シミュレーション(Three-phase method)を用いた。ケーススタディの対象をトップライトとサイドライトを含めた8つの代表的な事例とした。シミュレーションの結果を通じ、年間積算照度の空間的な分布の特徴を定量的・視覚的に把握することができ、国際照明委員会(CIE)の推奨値(絵画:600klx・h、彫刻:特になし)と比較しながら、各ケースの展示状況に合わせて光環境を考察した。採光手法による年間積算照度分布の特徴について、多様なパターンは見られたが、鋸形のトップライトを用いたケース、線形のトップライトを用いたケースや四面の壁にハイサイドライトを用いたケースは、主要な展示面の照度分布は比較的に均斉であり、遮光装置等が一切使用されなくても展示品が配置された位置の年間積算照度も推奨値に近いため、今後の美術館の展示室における自然光利用に十分な可能性を示した。

 また、ガラス仕様の選択による年間積算照度への影響について、ガラスの厚さ、空気層、種類やフィルムの4つの面からシミュレーションと考察を行った。その結果、ガラスの厚さが増すにつれて、年間積算照度はやや低下する傾向が読み取れた。空気層の変化は結果に対する明らかな影響が見られなかった。ガラスの種類の選択について、各種類の間に無視できない差が示された。可視光透過率が異なるフィルムの使用によって年間積算照度が大幅に変化する傾向が読み取れた。以上より、ガラスの厚さ、種類やフィルム等の仕様の選択による展示室の年間積算照度のコントロールに対する効果が定量的に検証された。
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