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報告/人口減少率の激しい市町村における都市のコンパクト化

人口減少率の激しい市町村における
都市のコンパクト化

-まち・ひと・しごと創生総合戦略の記述に見るその実状

藤澤 忠盛、葛原 俊秀

Research of the Compact Formation of Cities, Towns and Villages
with the High Population Decrease Rate
Tadamori Fujisawa, Toshihide Kuzuhara
(受付:2019/7/22 採用:2020/3/17)

要約

 国立社会保障人口問題研究所の予測によると人口減少の波は止められない。そして、人口減少が進む中では都市のコンパクト化が重要だと考えられる。しかしながら、都市のコンパクト化とは、実際にどのように何をすることなのかなど曖昧な点が多いのが現状である。
 本研究では、都市のコンパクト化をいち早く打ち出し、実際に都市のコンパクト化計画を実行に移している夕張市を一つのモデルとし、その他の人口減少著しい市町村がどの程度類似の施策をとろうとしているのか、計画の現状を明らかにしたい。夕張市のコンパクト化計画は、「市街地の集約化」、「拠点」、「交通」の3側面にわたる施策が組み合わされ、また「交流」「産業」「食・住」「育児・医療・福祉」といった4つの機能的側面を総合してその拠点を形成することを目指すものであると言える。
 全国の市町村を対象として、2010 年の人口と2040 年の予測人口からそれぞれの市町村の人口減少率を算出し、最も人口減少率が高い30 市町村を抽出した。そして、それら30 市町村の「市町村まち・ひと・しごと創成総合戦略」を取り上げ、「コンパクト化」(「コンパクト」のみも含む)や「小さな拠点づくり」の記載および計画の有無を分析した。その後、「コンパクト」の記載のあった市町村において、夕張市の「市街地の集約化」、「拠点」、「交通」の3側面の施策が組み合わされているのか比較するとともに、その拠点に対しどのような機能強化が図られようとしているのかを確認した。
 結果としては、人口減少率ワースト30 市町村で、「市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定しているもの25 のうち、コンパクト化に言及している市町村は夕張市の他には4自治体に過ぎなかった。市街地の集約化については、面積も居住地分布もそれぞれに異なり、一様な方向性は見いだせないが、拠点づくりについては、それぞれのストックや特性を活かした方向付けが見られた。そして、こうした拠点を支える交通の再編までうたうのは夕張市と歌志内市であった。




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Last-modified: 2020-04-10 (金) 10:59:20