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略地図における視線計測を用いた
道路網デザインの評価

−形状と線の太さの違いに着目して

西岡仁也,伊原久裕

Evalution of the design of simplified road maps that with the use of eye tracking :
Focusing on the difference among shape and boldness of paths
NISHIOKA Yoshiya, Ihara Hisayasu
(受理:2017/7/24, 採用決定:2017/10/16) 【ビジュアルデザイン】

【要約】

 本研究は略地図の道路網のデザインの違いがルートの読み取りに及ぼす影響をあきらかにすることを目的とする.
 道路網のデザインの違いとして,実在する街路の形状にほぼ忠実な構成,直線のみを用いた構成,直線と曲線で描いた構成の3_つのパターンを作成した.さらにそれぞれに線の太さの違いの有無を加えて,合計6_種類のデザインパターンを実験に用いた.関連する先行研究では略地図の読み取り時間の計測による実験を行っていたが,本研究では,実験に視線計測装置を用い,注視点,形状毎の注視時間を計測し分析した.加えて実験の被験者全員を対象に読み取りやすさについてのアンケート調査を実施した.
 実験は道路網のデザインごとに出発地点と目的地点のセットを6種類設定し,被験者はその間の経路を自由に決定し視線移動を行う課題を課した.主要な交差点 _2_0_ _箇所への注視回数を測定することで,経路の選択を観察した.
 視線計測による実験の結果,経路の選択については道路網のデザインの違いに係わらず,出発地点と目的地点のセットごとの相関が非常に高く現れ,大きな差は現れなかった.注視時間の計測からはデザインの違いによる差よりも線の太さの強弱の有無により注視時間の違いが強く現れる結果となった.アンケート調査では直線のみを用いた構成の評価が高かったが,これは出発地点と目的地点との間のルートを設定しやすかったためであると推定される.直線と曲線で描いた構成は,注視点の動きは直線のものと近い傾向が見られたが,今回の実験においては曲線であることの優位性は見られなかった.
 以上のことから,同じ構造を持つ略地図において,直線の使用と線の太さに変化をつけることが形状の読み取りやすさを向上させ,周辺の道との関係を把握しやすくなることが分かった.また,出発地点と目的地点の違いによる移動距離の長短に係わらず,より単純な経路が選択される傾向が現れた.この点は,本実験で用いた略地図上の特定範囲での注視回数の計測から得られた知見である.



Last-modified: 2017-10-17 (火) 19:01:34 (35d)