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明治初期・和装新聞に於ける版式判定

大串誠寿

Distinction of Printing Press Plate Types on Old Japanese Newspaper
Ogushi Seiju
受理 2012/11/07、採用決定 2013/01/28【画像デザイン】

要約

今日の新聞紙面のグラフィックデザインを評価する前提として、その歴史的発達過程を客観的に検証することは有益である。新聞が近代的マスメディアに成長する要件として、木版から鋳造活字版への技術革新は重要であるが、両版式を印刷面から判別する簡明な方法論は見当たらない。筆者は新聞発達史の起点となる明治初期・和装新聞を分析するに当たり、予備研究として、印刷文字の字形から木版と鋳造活字版を判別する方法を考察し、提示した。
研究は以下のような手順で行った。(1)明治初期の和装新聞の概要把握、(2)文字に関する基礎的知見の整理、(3)明治初期の印刷技術の概要把握、(4)版式判定に関わる知見の文献調査、(5)木版と鋳造活字版の判別法の考察・提示。(1)で新聞成立期の主要52紙のうち88.5%に当たる46紙が和装新聞であり、1870(明治3)年までは全てが木版、その後鋳造活字版が登場することで両版式が併存してゆくことを確認した。(2)では文字研究に必要な概念と用語を整理した。さらに和装新聞が、1900(明治33)年の「小学校令施行規則」第16条施行前の、仮名の字体が多様化した状況を反映した印刷物であることを示した。続いて(3)で当時の印刷技術について調査し、蝋型電胎法の工程を示した。
 以上のように明治初期・和装新聞を取り巻く状況を整理した上で(4)に於いて、木版と鋳造活字版を識別する方法について先行研究の分析を行い、指標となる8項目を抽出した。これについて(5)で考察し、以下のような原則にまとめた。「同一印刷面上に現れる同一字体の文字の字形を比較して、明白な骨格・結構の差異が確認される場合、それらは同一母型から鋳造された活字ではありえず、手作業で彫刻された木版であると判断される」。この原則に基づいて、判別を行なう具体的手順を考察した。そして文字のサンプルを画像データとしてAdobe Photoshopで加工し、輪郭線を重ね合わせて照合する版式の判別法を提示した。



Last-modified: 2017-06-13 (火) 19:38:13 (643d)