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古代ローマ住宅ペリスタイルの列柱についての研究(2)

ポンペイ住宅のペリスタイル列柱配置における視覚効果の形式とその変遷についての考察

安田光男, 松隈洋,木村博昭

Case study on the typology and the transformation on the visual effect by columns of peristyle in the ancient roman houses at Pompeii
Teruo Yasuda, Hiroshi Matsukuma,Hiroaki Kimura
(受付:2018/91、採用:2018/11/29)【建築・環境デザイン】

要約

本研究は古代ローマ住宅ペリスタイルの列柱についての研究の第二編である。メナンドロスの家においてみられた様々な視覚効果をもたらす柱間の操作について、ポンペイにおける他の邸宅と比較し考察を行う。
どのような種類のものがどの住宅につかわれているか分析を行った上で、そういった操作がどの時代に行われていたかを確認し、視覚操作が行われている邸宅と行われていない邸宅の違いについての考察を行う。考察の要点は以下の3つである。1.初源的な遠近法を用い、奥行を実際よりも深く見せているかどうか。2.ペリスタイル列柱の操作を行うことで、アトリウムとペリスタイルを関係づけようとさせているかどうか。3.ペリスタイルに面する部屋の前の列柱は柱間が他のものよりも拡幅されているかどうか。
 信頼のできる詳細な平面図が掲載されている資料「Häuser in pompeji」から7件と前論考で取り上げたメナンドロスの家を加えた計8件を対象とし、上記の3_つの要点に沿って考察を行った。その結果、紀元前40年以降に現在見られる形にペリスタイルが成立した6件についてはペリスタイル列柱に視覚的操作が随所に見受けられるが、それ以前に成立した2件及び前者の6件でも年代が古い改築前のペリスタイルについては視覚的操作に関しては顕著なものが見受けられず、均等配置や軸対称の配置等、幾何学的な規則性に基づいた配置がより優先的に行われていることが分かった。
 研究対象となったポンペイ住宅においてペリスタイル列柱の配置は導入時(紀元前1世紀頃)にはペリスタイル自体の対称性が重視されており、幾何学的な秩序をよりどころに設計されていたものが、次第に柱間間隔を操作し、初源的な遠近法の効果を求めたり、中庭の風景を美しくみせるための視覚的な軸を中心に設計が行われるようになったと推測される。その変化は先行研究が指摘していたようにローマ帝国がポンペイを攻略した紀元前89年以降、紀元前40年頃から始まったと推測できる。また、アトリウムの機能がペリストリウムに移行する中で、ペリスタイル導入時のようにアトリウムとペリスタイルにおいて、空間的な応答関係が列柱の操作を行うことによって生み出される。



Last-modified: 2018-11-30 (金) 10:14:07 (13d)