PAGES

GUIDE

DATA

公的介護保険サービス利用状況の可視化の試みと、
そこから見えてくる問題

相良二朗、糟谷佐紀

Problems on Usage of Public Long Term Care Insurance which Found by Visualization of Usage Data
SAGARA Jiro & KASUYA Saki
受理 2011/10/24、採用決定 2012/01/05 【画像デザイン】

要約

 公的介護保険制度には施設介護だけでなく、多様な居宅介護サービスが用意されており、それらは、訪問介護や訪問看護などの訪問系サービスというヒト系サービス群と、デイサービスやショートステイなどのハコ系サービス群、および、福祉用具の貸与や購入、住宅改修費用の給付といったモノ系サービス群に大別される。これらのサービス利用は概ね1カ月毎に介護支援専門員(ケアマネジャ)と利用者との間で調整され決定されており、サービス内容は長期にわたり、利用者の要介護度の変化や、家族環境の変化などの外的因子によって時系列的に変化しながら提供される。介護支援計画書(ケアプラン)は向こう1 カ月間のサービス内容の羅列に過ぎず、利用状況の時系列的な変化をとらえることは難しい。一方、モノ系のサービスは、ある時点でスポット的に提供されるサービスであるが、利用者の生活環境を改善する目的で提供され、結果的にヒト系サービスやハコ系サービスの利用に影響を与えると推測されるが、これを把握するには、サービス利用状況の変化を時系列として捉える必要がある。
 著者らは、介護保険サービス事業者の協力を得て、モノ系サービスを利用した要介護者76 名のサービス内容とケアプラン書を閲覧し、サービス内容を時系列として捉えるチャートを作成した。このチャートでは、多様な事業者から提供される多様なサービスを俯瞰することができ、サービス相互の影響をとらえることができる。この結果、モノ系サービスの利用がヒト系サービスやハコ系サービスに影響を与えている兆候は認められなかった。サービスの変化に影響を与えているのは要介護度の変化、つまり、サービス利用枠の増減に過ぎないようである。



Last-modified: 2017-06-13 (火) 19:32:06 (705d)