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神戸洋家具産業の成長期から変革期までの特徴

─明治中期から大正期まで

佐野浩三

The Characteristics from Growing Stage until Reform Stage
in the Kobe Western-Style Furniture Industry
─From the Middle Term in Meiji-Period until the Taisyo-Period
SANO Hirozo
受理:2016/11/21, 採用決定:2016/12/24【プロダクトデザイン】

要約

 本稿は、『神戸洋家具産業の発祥過程と産業化の特徴 ~開港期から明治中期~』 の続論であり、「発祥期」 に続く明治20 年代以降の「成長期」と大正全期の「変革期」を研究対象としている。
 神戸洋家具産業は、慶応3(1868)年の兵庫(神戸)開港にはじまる居留地や雑居地での実用的需要を契機として発祥し、西日本の近代化における室内空間の洋風化を支え、創業から現代に至るまで約150 年にわたって家具製作を継承している事業者を有する希有な系譜を持つ。先の論文では「発祥期」を研究対象とし、明治初期に製作所を設け船大工から転業した「眞木製作所」(明治8年に創業)と明治5年創業の道具商「永田良介商店」の代表的な先駆者二系統が、業界を牽引していたことを明らかにし、その事業化経緯*3 をまとめ、模式図として提示した。
 本論では、「発祥期」と同様に「成長期」と「変革期」の新規事業者の選出や業態の区分、社会情勢の影響の分析から事業化経緯を考察し、その変化を模式図として提示した。「成長期」においては、先発事業者の世代交代や業態の複合化が進み、「製造」を専門とする事業者と「販売」を専門とする非製造事業者の新たな参入が見られ、「製造/供給」と「販売/需要」の事業連携が進展した。この一連の変化を具体的な事業者の選出から実態を明らかにし、社会情勢の分析を通じて産業が定着する過程を考察した。
 次いで、「変革期」においては、神戸洋家具産業が安定した製作技術を保有する一方、市場や顧客の要請は欧州の造形運動や生活改善の流れを反映して多様化し、業界を牽引する事業者が新たな要請に応えるために既存の保有技術に加え、専門知識に立脚した造形技術を吸収し生産領域の再編を進める経緯を社会情勢や事例に沿って考察した。その結果、「変革期」の最大の特徴として、神戸洋家具産業の生産領域が製造(職人)と図案(設計士)の二つの技術(職域)の連携による工程に再編成されたことを明らかにした。
 今後の展開は、次期の「成熟期」においても同様に考察を進め、自由市場経済下の序盤に自然発生し、約150 年継続してきた神戸洋家具産業の歴史に内包された事業化経緯の変化を比較検証することを最終のねらいとしている。



Last-modified: 2017-06-13 (火) 19:50:28 (14d)